[ショートインタビュー]2026.3.26
鈴木なな子。再起の核心

WBA(世界ボクシング協会)ミニマム級10位の鈴木なな子(26=横浜光)は、4月7日(火)、後楽園ホールで開催される「Lemino BOXING フェニックスバトル153」のセミファイナルで、前日本女子同級王者の吉川梨優那(24=泉北)を相手に、空位のWBOアジアパシフィック同級王座を争う。
吉川は、前日本女子同級王者で今回が再起戦であり、タイトルマッチ。状況としては決して軽くない。
昨年6月、鈴木は当時のWBA世界ミニマム級王者の黒木優子(34=真正)に挑戦。判定で敗れたものの、試合は高く評価され、年間最高試合に選出された。だが本人の胸中は明確だ。「勝っていたらベルトがあった」。評価と結果は別物。その事実が、いまも彼女の言葉の端々に滲む。
取材日、ミットを持つ千葉開マネージャーと長時間向き合っていた。テーマは「方向性」。できないことが多い、と鈴木は言う。
だが、その自己認識こそが成長の起点だ。世界戦で痛感したのは、ペースを握られた時の修正力不足。後手に回った際、なぜ立て直せないのか。悪い時間帯の動きを自覚し、分析し、再構築する。その作業を今、愚直に続けている。
スパーリングでは「モチャモチャしてしまった」と自己評価は厳しい。だが、そこから目を逸らさない姿勢に、前戦とは異なる質の覚悟を感じる。
相手の吉川とは過去にスパーリング経験がある。「強くて普通にやられました」。吉川は、前に出続ける圧力型。今回も消耗戦は避けられない可能性が高い。
だからこそ鈴木は、やり切ったと言える練習量を求める。「そこが一番簡単じゃないですか」。シンプルだが、勝負師として最も本質的な答えだ。
再起戦は落とせない。だが、焦っても道は開けない。世界挑戦への道は、混み合っている。それでも「目の前を勝たないと進めない」という現実を、鈴木は正面から受け止めている。
さらに、福岡でのプロ野球オープン戦始球式という新たな舞台も控える。リング外での露出も、女子ボクシング全体の価値向上につながる。競技者としての責任を自覚している点も、世界戦を経験した証だろう。
理想は「気持ちの良い試合」。だが、狙いは明確だ。「着実にポイントで上回る」。感情に流されず、設計図通りに勝つ。その姿勢に、進化の方向性がある。
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