[試合後談話]2026.3.10
あの日から2年。亡き兄の夢を継ぐ17歳・坂間楽叶のリング
元日本ユース・ライトフライ級王者の坂間叶夢さん(享年20)の弟、坂間楽叶(さかま・らくと/17=JB SPORTS)が10日、後楽園ホールで開催された「フェニックスバトル151 ふじのくに Professional Boxing」ライトフライ級4回戦で、ウィーラワット・サパーンラー(20=タイ)と対戦した。
将来を嘱望されながらも、一昨年3月に突然この世を去った兄・叶夢。あの日から2年――。弟の楽叶が、兄の夢を胸にプロのリングへと足を踏み入れた。
入場の時、叶夢さんの写真があった。静まり返る後楽園ホール。兄とともに歩むようにリングへ向かった17歳の表情には、確かな覚悟が宿っていた。
開始早々、ジャブを飛ばしてペースを握った坂間は、ワンツーを好打。プレスをかけてワンツーでガクッと腰を沈めさせたところで、レフェリーが割って入った。
フラッシュインタビューで、坂間は「KOで勝てて良かったが、内容的にはまだまだ。目指しているのは世界。坂間叶夢が見せていない景色を見せていきたい」と力強く言葉を発した。
試合後の取材で坂間は、「試合前は叶夢に『行ってきます』と伝えた。これが(叶夢が立っていた)プロのリングかと思った。楽しくできた」と、リングに上がる直前の思いを明かした。
そして、デビュー戦で決めていた言葉を口にした。「坂間叶夢の弟としてデビューしたので、兄を超えると言おうと決めていた」。
父でありトレーナーの坂間一平氏は、「楽叶は小さい頃からボクシングをしていたわけではない。やると言った時は迷いもあったし、ここまで来るのは苦しかった。やっとプロボクサーになった。チームで焦らず一つずつ積み重ねていく。止まっていた時間が少しだけ動いた。人生を懸けて楽叶についていく」と言葉に力を込めた。
坂間を指導するJB SPORTSの山田武士代表も、この日のリングに特別な思いを抱いていた。「プロのリングは生半可な気持ちではできない。リングに上げるのが正しいのか、この2年は本当に苦しかった」。その上で、こう続けた。「ここから彼のボクシング人生が始まったという思い。兄と同じように、日本ボクシングの伝統である新人王戦に来年は出場させて、階段を上っていく」。
JB SPORTSの森川常次会長は「今日はKOにこだわったが、それで良かったんじゃないかな。子どもの頃、叶夢の練習を見てボクシングはしないと言っていた楽叶が、まさかやるとは思わなかった。月並みだがホッとした」と胸をなで下ろした。
山田代表は最後にこう語った。「坂間叶夢の写真と一緒に入場するのは、これが最初で最後。今日は叶夢にとって最後のリングで、これからは楽叶にバトンタッチ」。
亡き兄の夢を受け継いだ17歳。坂間楽叶のボクシング人生は、この日、静かに幕を開けた。
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